子宮内膜症とは
検査として問診、超音波検査、血液検査、必要にてCT、MRI検査などを行います。
子宮内腔にしか存在しないはずの子宮内膜の組織が、何らかの原因で骨盤腹膜、卵巣、子宮周辺組織に発生します。これらの場所にできた内膜症組織は、月経になると女性ホルモンの影響で増殖・出血を繰り返し、病巣は増殖・進展し、炎症や周囲組織との癒着をおこします。月経時に塊を伴う出血や、激しい下腹部痛、腰痛などを起こし、妊娠を希望する人では不妊の原因にもなります。卵巣に発生した場合はチョコレート嚢胞と呼ばれチョコレートのような古い血液が卵巣内に溜まり、卵巣が腫れてきます。
子宮内膜症が発生する部位
子宮内膜症の好発部位は、卵巣が50%、子宮と直腸の間のダグラス窩腹膜が40%、仙骨子宮靭帯が20%、などとなっています。
子宮内膜症の症状
月経痛
子宮内膜症をもつ患者様の大多数90%に診られます。痛みの強さは子宮内膜症の進行の程度とは関係なく、初期に激しい痛みを起こす場合もあれば、骨盤内の臓器が癒着してもまったく痛まない場合もあります。ただし、ダグラス窩(腹膜腔の一部、子宮と直腸の間に存在する)の奥に発生したものに限り、強い痛みがあるという特徴があります。
月経痛以外の疼痛
月経時以外にも下腹部や腰が痛むことがあります(骨盤痛)。また、子宮後壁やダグラス窩周辺が癒着して子宮内膜症が進行すると、性交痛・排便痛がひどくなる場合があります。
不妊
子宮内膜症と不妊症の因果関係はまだ明らかではありませんが、子宮内膜症の患者様の30~40%が不妊症であることから、密接な関係が考えられています。
検査と治療
子宮内膜症の治療には、大きく分けて「手術療法」と「薬物療法」の2つがあります。さらに「薬物療法」には以下の対症療法と、子宮内膜症そのものに働きかける内分泌療法があります。
薬物療法
- 対症療法:鎮痛薬、漢方薬などで症状を和らげます。
- 内分泌療法
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- 1 低用量ピル療法=排卵を抑制して、子宮内膜症の進行を抑えます。
- 2 ダナゾール療法(偽閉経療法)=男性ホルモン系の薬剤で、子宮内膜症を萎縮させます。
- 3 GnRHアゴニスト療法(偽閉経療法)=GnRHアゴニスト療法とは、「GnRHアゴニスト」と呼ばれる強力な合成GnRH薬剤を継続投与することで下垂体を抑制します。ここから卵巣におけるゴナドトロピン反応性を低下させ、女性ホルモンの産生・分泌を抑制してしまう方法です。GnRHアゴニスト製剤は、卵巣を刺激するゴナドトロピンの分泌を減らすことにより、卵巣からのエストロゲンの産生・分泌を抑え、閉経状態にして、子宮内膜症の発育を抑えながら病巣を萎縮させ、月経を停止して症状を緩和します。
- 4黄体ホルモン放出IUS(ミレーナ®︎52mg)=子宮内に黄体ホルモンを持続的に放出する子宮内システム(Intra Uterine System)です。ミレーナから放出されるホルモン(レノノルゲストレル)は子宮内膜の増殖を抑える働きがあるため、内膜は薄い状態となり月経量を減少させるとともに月経痛を軽くします。また子宮内膜の増殖を抑えることにより妊娠の成立(受精卵の着床)を妨げたり、子宮の入り口の粘液を変化させて精子が膣内から子宮内に侵入することを妨げることで避妊効果を発揮します。 (ミレーナを避妊のために使用する場合には、保険は適応されません。)
- 5黄体ホルモン製剤(ジエノゲスト錠)=内分泌療法に属する黄体ホルモン剤で卵巣の働きを抑えて排卵を止めることで、月経 を起こさないようにする働きがあります。また、子宮内膜にも直接敵に働いて、子宮内膜の増殖を抑える働きもあり、月経痛の症状に対して効果が認められています。
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